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世界に開かれた大学で学ぶ価値

2013.02.20

世界に開かれた大学で学ぶ価値

2000年大分県別府市に開学した立命館アジア太平洋大学(APU)。
開学以来130の国・地域の学生が学んだ。
留学生が約半数という日本で最も国際性に富んだユニークなキャンパスで学んだ価値は何なのか?
日本で学び、働く意義は?日本で働く7名(7カ国)の卒業生に聞いた。

なぜ日本に留学しようと思ったのですか?

アンドレイ:高3のときにアメリカに留学し、アメリカの大学への進学も考えましたが、自分はアジア人であり、アジアのことも知るべきではと、当時アジア唯一の先進国だった日本への留学を決意しました。

ラジブ:僕の高校はアメリカ、ロシア、日本など世界各国から、全学授業料免除で奨学生の募集がある高校でした。
子どもの頃からメイド・イン・ジャパンの製品に囲まれていたので、日本という国に興味がありましたし、両親からも、気候の良さや治安の良さから、日本を勧められました。

ザブ:もの作りやITに興味がありましたが、メイド・イン・ジャパンの製品に囲まれて育ったので、ものづくりなら日本だと。

ナブ:子どもの頃からいろいろな国で育つ経験がありましたが、日本は、ほかのどこの国にもないような文化がある。
また、日本はとても小さい国なのに、当時はGDPが世界2位、インドは日本の10倍もの人口がいるのに12位。
どうしてだろうと日本という国にとても興味を感じていました。

横井:静岡から進学しましたが、高校のときAPUの国際学生を見て、こういう様々な価値観に囲まれ学生生活を送れるのは、ほかの大学にはない魅力だと感じました。

卒業後、東京で仕事をした感想は?

アンジェラ:日系企業、外資系企業の双方を経験しました。
日系企業は社員の成長を見守ってくれますが、外資系企業は業績重視で、目標達成へのプレッシャーがすごい。

アンドレイ:すぐに成果が出せなくても、待ってくれるところはありますよね。
先輩がビジネスマナーから仕事の仕方まで、親切に教えてくれるところは日本特有。

ナブ:日本で働けたらどこの国に行ってもどんな職業でも働けますね。
日本人は勤勉で仕事もきちんとしている。
日本で若いうちに仕事をすることは、必ず将来のキャリアを築くうえでのアドバンテージになる。

苦労することも多いでしょう?

ラジブ:私の部署は、海外営業部なので海外とのやり取りが多くて、書類もメールも英語。
上司の理解もあって日々成長を感じていますが、APUの卒業生の友人の多くは、考え方の違いや、日本の「飲み会」とかで苦労しているみたいです。

アンジェラ:英語を話せる人や異文化への理解を示す人が少なく、気軽に仲良くなれない。
東京ではAPUでは一切感じたことのない「ガイジン」感覚が少しさみしいです。

ビディア:私たちはもっと外国人としての特性を活かして働きたいと思っていますが、なかなかそういう場に巡り会えない。

ザブ:僕の今の会社は日本語を話すことはほとんどない。
仕事は全部英語だし、会議も英語。
ただ、上司への報告書は日本語で書かなければならないのが少し難しい。

アンドレイ:日本特有の「ほうれんそう」や、上下関係の厳しさで自分の意見が言えなくなったり、意思決定に時間がかかることなど、最初は働きづらく感じることもあるのかも。

ナブ:日本人は、海外に工場を持っているとか、海外での売り上げが全売上の何%、ということがグローバル化の指標になっているが、私は、どこの国に行っても働ける人材を重視する会社がグローバル企業だと思う。
私はインド人ですが、日本人の考え方もわかる。
私が日本人化するのではなく、外国人であるからこそ会社に貢献できるキャリアを求めています。

横井:私はAPUで、みんな違って当たり前、という感覚の中で4年間を過ごしました。
卒業後地元に帰り、なんでもみんなと同じでなければならないという感覚には違和感を感じています。
また、APUでは自分の意見を言うことが当たり前だったのですが、一般的な日本社会では「自己主張が強い」と言われる。
日常生活で日本語しか聞こえないことも寂しく思います。
APUでは、中国語、韓国語、インドネシア語、スペイン語、あらゆる言語を聞くのが普通だったので。

APUの経験が職業人としてどう役立っていますか?

アンジェラ:異文化対応力とコミュニケーション力でしょうか。

ザブ:世界中の人とのTV会議などでも、社員間のつなぎ役になれます。
国籍はどこであれ、全く壁を感じることがなくなった。

ビディア:APUでの色々な価値観の人たちが協力して一つのものを作り上げるという経験の繰り返しが、職業人としての自分にとても役立っています。

東京で大学生活を過ごせばよかったと思いますか?

アンドレイ:全く思いません。
別府には海も山もなんでもそろっている。
それに、別府にいたからこそ日本の本当の良さがわかった。
東京は便利ですが、人との関係も浅い。
APUが東京にあったら、学生間の交流が深まることもなかったでしょう。

ナブ:外で遊ぶものがないがゆえに、国境を越えた友人達で何か新しい価値を生み出す力が次々に生まれます。

こんな大学は皆さんの国や他の国には存在しませんか?

横井:ないでしょうね。
欧米の大学や、交換留学で行った香港大学でも、留学生は多かったですが、同国人同士でかたまってしまう。
APUのように国籍関係なくだれとでも仲よくなれる大学はほかにないのでは?

ナブ:もし私が勉強だけしたいのであれば、インドの大学のほうがよかったでしょう。
実際高校時代までは一日10時間以上は勉強していました。
APUでも勉強は大事ですが、それ以上に、さまざまな国籍の友人たちとの授業や課外活動によって、価値観や人格が形成されたと感謝しています。 昨年あるイベントで、世界各国の有名大学の卒業生が集まったことがあるのですが、もし大学時代をやり直せるなら同じ大学を選ぶかという問いかけに、僕とパキスタン人のAPU卒業生だけが「もちろん!」と答えた。

ラジブ:そうでなければ、3連休の日曜日にこんな座談会に来ませんよ。

全員:

(2013年1月13日取材 取材協力:APU東京ブランチ)

アンドレイ

アンドレイ(Andrey Pak)さん
国籍:ウズベキスタン
外資系企業においてコンサルタント

アンジェラ

アンジェラ(Angela Pham)さん
国籍:ベトナム
外資系企業においてコンサルタント

ナブ

ナブ(Navneet Singh)さん
国籍:インド
家庭用品メーカーにて海外営業

ザブ

ザブ(KamauZablon)さん
国籍:ケニア
電機メーカーのシステムエンジニア

ラジブ

ラジブ(MdAsaduzzaman(Rajib))さん
国籍:バングラデシュ
化学メーカーにて海外営業

ビディア

ビディア(Vidya Dhanika Rasthri)さん
国籍:インドネシア
外資系企業においてコンサルタント

横井

横井(Relina Yokoi)さん
国籍:日本
銀行勤務

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