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国際ロボット競技大会WRO(World Robot Olympiad)観戦記

2013.11.22

国際ロボット競技大会WRO ( World Robot Olympiad)が、2013年11月15日から17日までの3日間、インドネシアの首都ジャカルタで開催された。シンガポールで第1回大会が開催されてから、今年で10年目となる。
今大会では36の国と地域から、合計392チームが参加した。

日本からは各地区予選大会を勝ち抜き、9月に東京で実施された全国大会で優秀な成績をおさめた19チームが参加した。

開会式では、歓迎のインドネシア民族舞踊に始まり、インドネシア政府、大会代表、インドネシアUNESCO事務所代表からの挨拶に続いて、開会のドラが打ち鳴らされた。


開会式の様子

大会運営の公式言語は英語だ。会場の移動、進行、大会時に発表されるレギュラーカテゴリーのルール変更(サプライズルール)、ジャッジ、そして審査員へのアピールなど、たとえ小学生であってもその意味を理解し、適切に英語で対応しなければならない。
一旦会場に入ると、コーチと選手との接触は制限されるので、その場面や状況に応じた対応が求められる。

日本を出発する前に代表チーム強化合宿が実施され、レギュラーカテゴリーの大会進行を英語で行い、誤った採点がなされた際の対応など、過去の日本代表チームの経験がプログラムに盛り込まれた。
これらは、国際大会への対応ということだけでなく、将来世界の中で生き抜く力を育てているとも言うことができる。
これらの力は、なかなか学校教育の「英語科」の授業の中では、身に付けさせることができにくいが、言わなければならないことを言い、相手と交渉をし、妥協点を見出していく際の大切な力である。
小学校への「英語科」導入が発表されたが、英語学習が2年早まるだけで、カリキュラムの見直しがなければ、「使える」英語は身に付かないのだ。


小学生と参観者の交流


レゴで楽しむ国際色豊かな各国からの参加者

準備、試走・展示、予選本戦と、日中は30℃を超えるジャカルタで3日間にわたって開催された大会で、日本代表チームは、レギュラーカテゴリー中学生の部で予選1位、決勝は惜しくも地元インドネシアチームが3秒差で上回り、2位という好成績を収めることができた。

日本代表チームへのインタビューの中で、「もっと応援してもらえるように、優勝を目指します」という言葉が、非常に印象に残った。
WROは、独立行政法人科学技術進行機構JSTが認定する「国際科学技術コンテスト」の1つであり、他の国際数学オリンピック等と同様に、将来国内外で活躍する社会有為な人財育成に大いに貢献できる事業である。

官民学一体の「社会総がかり」での人財育成が謳われて久しい。
国はもちろんのこと、我々一人ひとりが「志ある」若者の活動への理解と支援を行っていければと願う。

WRO2013公式サイト
http://www.wro2013.org

寄稿:荒木貴之
理科教諭、教育委員会指導主事等を歴任。
WROには、コーチ、地方大会運営、全国大会プレゼンテーション審査員等に関与。
SSH(スーパーサイエンスハイスクール)・SPP(サイエンスパートナーシッププログラム)等の実践の他、CAMP・NPOスーパーサイエンスキッズフェロー。
著作として、
「ロボットが学校にやってくるー知的好奇心はこうして伸ばせ」
「日本発21世紀型教育モデルーつなぐ力が教育を変える」
(教育出版刊)

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