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【連載コラム】

第2回日本人よ、真の国際人を目指せ!

2011.11.22

日本人よ、真の国際人を目指せ!第2回

日本人はなぜ英語ができないのか?

日本人はなぜいつまでたっても英語がしゃべれないのか。
その原因は、どうやら英語指導を、意味がわかればいい=翻訳中心としてきた日本の歴史にあるようです。

学校英語のなぞ

日本人のほとんどが、中学・高校を通して6年間、ほぼ毎日学校の授業で英語を勉強します。
大学でも英語を学ぶとしたら、合計10年間。

単語数も、高校受験で1000〜1500語、大学受験ともなれば最低でも7000語近くの単語を覚えなければなりません。
これほど多くの英語の単語を知っていながら、なぜ日本人は英語ができないのでしょうか?

原因は「翻訳文化」

この原因の1つは日本の「翻訳文化」にあるのです。

日本人は、非常に翻訳に長けた民族です。大昔から、たくさんの外国の情報を翻訳によって入手し、巧みに日本独自の文化に融合させてきた民族なのです。

その最もよい例が、明治維新の頃です。
日本は、200年の鎖国をといて開国し、欧米列強の進んだ文化・技術を取り入れるために国をあげて努力しました。
たとえば、明治5年に日本で初めて走った蒸気機関車はイギリス製でしたが、その後政府は技術者を外国に派遣し、持ち帰った情報をいち早く日本語に翻訳し国産の蒸気機関車の製造に成功しました。

その頃しかれた学制(学校制度)により、学校でも英語が教えられましたが、授業は英語そのものよりむしろ一部の能力である翻訳技術の伝達に重きを置かれました。いわゆる「訳読方式」です。

これによって、大量の翻訳技術者を養成したのです。
ですからもともと、外国人と直接コミュニケーションするためにカリキュラムが組まれていたわけではないのです。

明治から100年以上過ぎた今でも、学校ではこの訳読方式が生きているために、日本人は何年習っても英語がしゃべれないのです。

明治維新より溯ること1300年前、中国から仏教が伝来したときも同様です。
日本人は仏典を読むために、高校の漢文の授業でおなじみの、レ点、返り点や送り仮名をつけることで、中国語をそのまま日本語として読む、独自の漢文翻訳法を発明しました。

このように、日本人は、翻訳に関しては並外れた才能を持っています。
しかし、この才能が逆に日本人の外国語の習得を妨げる原因になっているのです。

なぜ翻訳では英語が身につかないか

日本が、明治の頃に英語に対して行ったことと、仏教伝来の頃に中国語に対して行ったことには、一つの共通点があります。

それは、「音」を無視していることです。

翻訳は、意味がわかればよいのであって、しゃべったり、コミュニケーションしたりすることを目的にはしていません。
しかも、訳すとわかったような気になることが恐ろしいところなのです。
つまり極端な場合、英文や漢文を声に出して読めなくても、意味がわかってしまうのです。

この文化は根強く、今でも高校の英語の授業では、長文読解つまり翻訳が中心で、1時間の間、一度も英語を声に出すことがないという授業が今でも少なからずあります。

このようなわけで、日本人はいつまでたっても英語が話せないのです。

英語をマスターする際には、「音」の学習が何よりも重要な要素です。

次回は、英語と日本語の「音」についてお話ししましょう。

竹村和浩さん

竹村和浩さん
英語教育ニュース編集長
立教大学文学部英米文学科卒。東京都立高校にて6年間英語教諭として教壇に立つ。その後、(株)公文教育研究会等を経て1995年にTLL言語研究所を設立。全国でビジネスパーソン、英語教師向け英語研修などを実施し、日本人の英語力向上のための活動に従事している

[Vol.8 2011春号掲載]

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