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第2回先生のための学習コーチング入門

2011.06.10

三日坊主にさせない学習サポート法

前回は、生徒との信頼関係を構築する上での考え方について解説しました。
今回は、その信頼関係ができているという前提で、学習に対する生徒の動機付けについて述べます。
ここでは、皆様方のもっとも関心のある「英語」を事例に挙げながら解説してゆきます。

英語学習を継続できる人、できない人

わたしはこれまで、英会話学校に通ったり、英語教材を使用するなど、英語学習をした経験のある人とたくさん会ってきました。しかし、実際に英語力を身につけるにいたった人はかなり少ないというのが現状です。多くの人は、英語の学習が続かないのです。なぜでしょうか。それは、英語を学ぶ「意味づけ」ができていないからだと思います。

英語力のある人には共通項があります。彼らは英語を「目的」としているのではなく、「手段」として捉えていることです。英語を使って「MBAの資格を取る」「留学する」「海外の友人をつくる」等、真の「目的」を持っているのです。逆に、英語学習が継続できない人は、英語力をつけたその後のイメージがないのです。

たとえば、英検に挑戦することに迷っている生徒に対し、どのような動機付けができるでしょうか。「英検二級持ってると、受験や就職に有利だぞ」と、事実を伝えることもできるでしょう。しかし、それでは「他者決定」になり、「先生から押し付けられた」という印象を受けます。こういう生徒は、学習がつらくなると、いとも簡単にその目標を手放します。

「他者決定」の学習から、「自己決定」の学習へ

こういうときには、「自己決定・自己責任」の態度を育む、コーチング的な対話が有効に機能します。

「英検二級を取ったら、その後、どんなことが可能になる?」
これらの質問をされた子どもたちは、自分なりに将来をイメージし始めます。すると、自分の言葉で
「AO・推薦入試などで有利になり、ワンランク上の大学への可能性が広がります」
と答えます。さらに先をイメージさせるのも有効です。 「じゃあ、ワンランク上の大学にいく場合と、今の実力でいける大学に進学した場合、君の人生にとって、どんな違いが生じる?」
生徒たちは更にイメージを働かせ、自己説得を始めるのです。これで英検合格は「目的」から自らの人生を豊かにする「手段」として捉えられ、内的動機付けが強化されるのです。

どんな級を目指すにせよ、チャレンジするからには、それまで以上の努力が課せられます。毎日英単語を五十個覚える、問題集を十ページ取り組む等々。目標を立てたそのときは体温が高くても、そのうち体温が低くなり、ついつい学習がおろそかになるのが人間の常です。そこで自らの学習がどのような意味を持つのか納得している人間は努力を継続することができますが、納得していないと心が折れます。だからこそ、生徒自身に意味を見出させなくてはならないのです。

考える材料を与えた後で、考えさせる

事実、英語学校の中には、講師にコーチングのスキルを身につけさせ、受講生に対しキャリア形成のお手伝いをしているところがあります。その結果、学習の平均継続期間を長期化させることに成功しているのです。

これらの自己説得が学習の動機を強化することはご理解いただけると思いますが、知識や経験の少ない生徒たちに、英検などに代表される資格取得の意味をゼロから考えさせるのは難しいでしょう。そこは最低限の情報を大人が「教える」必要があります。そして、その「教え」の意味を子どもたち自身に内省させ、やる気を「育む」ことが重要です。この両者のバランスがとれたとき、本当の「教育」が成立するのではないでしょうか。

学習コーチング魔法の質問

佐々木宏さん

佐々木宏さん
学習コーチアカデミー主席研究員
美川特区アットマーク国際高等学校コーチング・ディレクター
教育に特化したコーチングである、「学習コーチング」の提唱者。
教員や保護者への研修、生徒への進路講演をはじめ、学習コーチングの研究

学習コーチング研修の紹介
学習コーチアカデミーでは、教育現場に特化した学習コーチングの研修を毎月開催しております。コースには、入門から上級コースまで、受講者のニーズに合わせたプログラムをご用意しております。また、学校や研究会へお邪魔する訪問研修も行っておりますので、お気軽にお問い合わせください(お問い合わせ時に『キンジロー』を見たとお伝えいただくとスムーズです)。
HP:http://www.coaching-academy.jp/

[Vol.3 2009夏号掲載]

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