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第3回先生のための学習コーチング入門

2011.06.13

意欲の低い生徒のやる気を引き出す方法とは?

コーチングは本来、やる気があって、自己啓発に熱心な人を対象としたコミュニケーションです。
弱肉強食のビジネス界において、出世欲の高い人がコーチをつけて躍進することは、至極当然のことですが、教育現場では、そうは言っていられません。
3回目となる今回は、どのようにして、学習意欲や生活意欲の低い生徒のやる気を引き出すかについて解説します。

「できていない部分」ではなく、「できている部分」に目を向けさせる

わたしはこれまで、英会話学校に通ったり、英語教材を使用するなど、英語学習をした経験のある人とたくさん会ってきました。しかし、実際に英語力を身につけるにいたった人はかなり少ないというのが現状です。多くの人は、英語の学習が続かないのです。なぜでしょうか。それは、英語を学ぶ「意味づけ」ができていないからだと思います。

英語力のある人には共通項があります。彼らは英語を「目的」としているのではなく、「手段」として捉えていることです。英語を使って「MBAの資格を取る」「留学する」「海外の友人をつくる」等、真の「目的」を持っているのです。逆に、英語学習が継続できない人は、英語力をつけたその後のイメージがないのです。

たとえば、英検に挑戦することに迷っている生徒に対し、どのような動機付けができるでしょうか。「英検二級持ってると、受験や就職に有利だぞ」と、事実を伝えることもできるでしょう。しかし、それでは「他者決定」になり、「先生から押し付けられた」という印象を受けます。こういう生徒は、学習がつらくなると、いとも簡単にその目標を手放します。

行動を止めている、本当の理由を洞察する

上記の質問で行動計画が出てきても、実際に行動を起こさない生徒もいます。このような場合は、生徒の背景にあるさまざまな要因に目を配らなければなりません。

たとえば「もう、学校に行きたくありません」という生徒に対し、皆様は何個くらいの理由を思いつくでしょうか。「いじめ」「勉強についてゆけない」くらいは誰でも思いつきます。しかしもし、その要因が先生にあったらどうでしょう。生徒は絶対に本当のことは言いません。その根っこの部分をしっかりと見据えた対応をしなければ、うわべだけの対応になり、生徒の真のやる気を引き出すことは難しいでしょう。不登校の理由についても、最低15個は思いつかないと、学習コーチング的な観点からは失格です。

「もしも」の質問で、興味関心ごとを引き出す。

生徒の中には、やりたいことが見つからなくて悶々としている者もいます。こういうときには、「もしも」の質問が有効です。過去に、地理の学習のテーマが見つからないという生徒がいたので、「君の関心のあるテーマでいいんだよ」と伝えたところ、「でも、特に好きなことってないです」と答えていました。

そこで、「じゃあ、もし君が1億円もらったら、なんに使う?」と質問したところ、「だったら、北海道から沖縄まで、ラーメンを食べ歩きます!」と、即答しました。その後セッションを続けて行くと、最終的には「地域別、ラーメンスープの考察」というテーマに落ち着きました。 興味関心ごとのない人間は誰一人いません。しかし、何が自分にとって関心ごとなのか、自分が目指したいものなのかがわからないのです。そのようなときに、生徒たちの資源を掘り起こすコーチングが有効に機能します。

学習コーチング魔法の質問

佐々木宏さん

佐々木宏さん
学習コーチアカデミー主席研究員
美川特区アットマーク国際高等学校コーチング・ディレクター
教育に特化したコーチングである、「学習コーチング」の提唱者。
教員や保護者への研修、生徒への進路講演をはじめ、学習コーチングの研究

学習コーチング研修の紹介
学習コーチアカデミーでは、教育現場に特化した学習コーチングの研修を毎月開催しております。コースには、入門から上級コースまで、受講者のニーズに合わせたプログラムをご用意しております。また、学校や研究会へお邪魔する訪問研修も行っておりますので、お気軽にお問い合わせください(お問い合わせ時に『キンジロー』を見たとお伝えいただくとスムーズです)。
HP:http://www.coaching-academy.jp/

[Vol.4 2009秋号掲載]

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