記事・コラム

【お役立ち情報】

最終回先生のための学習コーチング入門

2011.06.22

生徒の「目標力」育てられるのは
「目標力」を持つ大人だけ

これまで、学習コーチングの「スキル」について解説してきましたが、最終回となる今回は、学習コーチングを行う大人が、どのような存在でなければならないか、つまり、学習コーチングの「マインド」について解説します。

夢も目標も持たない大人が、 生徒に夢を持てとは言えない。

学習コーチングで目指すことは、生徒たちの「目標力」を育むこと。これまでの3回で解説してきた、「信頼関係の作り方」「動機付けの方法」「やる気のない生徒への対応法」は、そのための手段です。

「目標力」とは、①目標を持つ力、②目標達成までの計画を作成する力、③計画を遂行する力のことをさします。この「目標力」を育む大人のあり方として一番大切なことは何でしょうか。それはズバリ、大人自身が「目標力」を持っていることです。理由は二つあります。

まずは、生徒に信頼されるためです。夢も目標もない大人が、生徒だけに夢や目標を持つことを強要することができるでしょうか。仮に口先だけで述べることができたとしても、生徒たちは見透かす力を持っています。「毎回同じような授業をしている先生にそんなことは言われたくない」と。

大人が「目標力」を持つ二つ目の意味は、生徒の力を信じることができるようになることです。自らが、目標のために試行錯誤を繰り返すことで、生徒の心情を理解することができます。壁にぶち当たりながらも前進しようとする大人は、壁にぶち当たり立ち止まっている生徒の背中を押してあげることができます。「大丈夫、絶対に乗り越えることができるから」と。

しかし、目標を持つことから遠ざかった大人たちは、壁の前に立ちすくむ生徒の「顕在化された力」だけを見て、「お前の力ではこの壁は乗り越えられないから、こっちの道にしたらどうか」と、いとも簡単に目標を放棄させてしまいます。果たしてそれで生徒に真の実力で勝負させているといえるでしょうか。真の実力とは、生徒の持つ「顕在化された力」に加え、まだ開発されていない「潜在的な力」をエデュケートする、つまり引き出すことにあります。

生徒たちの未来は「できないこと」を探す方が難しい

大人社会では、どんなに自分だけががんばっても、景気が悪くなったり、法律が変わったり、組織が変わったりなど、外部要因の影響を受け、目標が達成されないことが多々あります。しかし、生徒たちのおかれた環境は違います。努力した分だけ、確実に数字になって戻ってくることは、現場の先生方が一番知っていることでしょう。

英語の家庭学習を15分しかしていない生徒が1時間に伸ばせば、確実に点数はアップします。部活も死ぬ気で取り組めば、運動部なら確実に県内ではベスト8くらいまでには進めるはずです。体力差はあれど、相手は同じ高校生なのですから。

このように考えれば、これから先、生徒たちの可能性は、できることより、できないことを探すほうが難しいくらいです。

自分の力を信じれば、生徒の力も信じることができる。

学習コーチングは、「育む」コミュニケーションです。そのためには、生徒と本音で語り合える環境が必要ですが、生活意欲のない、低体温の生徒の心に火をつけるのは、湿った炭に火を付けるほどの根気強さが求められます。時間のかかるコミュニケーションを継続させるには、生徒の力を信じることなしには不可能です。そして、生徒の力を信じる気持ちは、我々大人が、「自分の力はまだまだこんなものじゃない!」と潜在的な力を信じ、挑戦し続けること。つまりは、「目標力」を持つことです。是非一度、まずは皆様がたの「目標力」を見直していただければと思います。

学習コーチング魔法の質問

佐々木宏さん

佐々木宏さん
学習コーチアカデミー主席研究員
美川特区アットマーク国際高等学校コーチング・ディレクター
教育に特化したコーチングである、「学習コーチング」の提唱者。
教員や保護者への研修、生徒への進路講演をはじめ、学習コーチングの研究

学習コーチング研修の紹介
学習コーチアカデミーでは、教育現場に特化した学習コーチングの研修を毎月開催しております。コースには、入門から上級コースまで、受講者のニーズに合わせたプログラムをご用意しております。また、学校や研究会へお邪魔する訪問研修も行っておりますので、お気軽にお問い合わせください(お問い合わせ時に『キンジロー』を見たとお伝えいただくとスムーズです)。
HP:http://www.coaching-academy.jp/

[Vol.5 2010春号掲載]

«前の記事へ |  記事・コラム一覧  | 次の記事へ»

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます