編集長ノート

「受験」というものは日本やインド、韓国などのアジア諸国にしか存在しない。

アメリカでは、SAT(Scholastic Assessment Test、大学進学適正試験)という共通試験があり、SATのスコアに見合ったレベルの大学を選んで進学することができる。SAT試験は1年間に7回実施される。何回も受験して一番良いスコアを使って、よりよい大学に進学すればいいのである。

日本のように「一発勝負」の受験制度は、海外から見ると異様に見えるらしい。

人それぞれ学ぶスピードは違うし、本番に弱い人もいるだろう。たった1回の試験で、失敗したら第一志望をあきらめたり浪人するという究極の選択は、あまりに酷だ。

受験の厳しさから、大学で何を学ぶのかではなく、どの大学に入るかがゴールになってしまっている。

晴れて大学に入学しても、その後の進路変更が究めて難しいのも日本の特徴だ。入学後、違うことを学びたくなった、あるいは経済的な事情で一時的に学び続けることが難しくなったという場合、日本では大抵は、一度大学を辞めて受験し直すしかない。

しかし、欧米圏では、大学間の単位連携が進んでおり、最初に入学した大学で良い成績を修め、さらによい大学に「編入」するということは一般的だ。

また、アメリカでは長期休学しても一定期間単位を残しておけるし、多くの日本の大学のように休学中の学費を払う必要がないので、休学して働いて学費を稼いでから復学したり、自分のやりたいことをやってから復学するというケースは多い。

社会に出て初めてもう一度勉強しなおしたいとか、違うことを学びたいという意欲がでてくる人も少なくないはず。自ら学びたい、という気持ちがあってこそ本来の学びだと思う。

「いつ学ぶのか」よりも「自分の意志で」「何を学ぶのか」を考えることが大切で、意志さえあれば、思ったときにいつでも学べるように、受験制度や、編入制度が変わっていくことが望まれる。

[Vol.8 2011春号掲載]

編集長プロフィール

天野智之

天野智之

15歳で単身ニュージーランドの高校へ留学。高校卒業後に渡米、カリフォルニア州立大学で学位を取得。その後日本へ帰国し、会社員を経て起業。
「海外から見た日本の教育」という視点で日本の教育制度にもの申す!

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