特集

篠田庸介

ITソリューションで、アジアや中東、そしてアフリカにまで事業を拡げている株式会社ヘッドウォータース。同社の代表取締役で「生き残るSE(日本実業出版社)」の著者でもある篠田庸介さんに話を伺った。

エンジニアはビジネスマインドを身に付けろ!

-オフショア開発から海外進出支援のコンサルなど、グローバルに事業を展開されていますが、現在に至るまでのご経歴などを教えてください。

篠田:私は大学を3年生で中退し、先輩の立ち上げたベンチャー企業にジョインしました。その会社は輸入・卸を事業としており、一時は社員300人以上になるまで成長したのですが、経営破綻をしてしまい、私はそこからスピンアウトして、仲間と一緒にコンピューターグラフィックの製造販売業を始めました。
この事業も軌道に乗ったのですが、代表をしていた仲間に成長意欲がなくなってしまい次第に安定を求めるようになりました。
企業は成長し続けないと働いている社員も幸せになれない。そこで私は自分自身が代表にになって新しい会社を立ち上げることを決意しました。
すると、前の職場から多くの仲間が私に着いてきてくれて、31歳で自分の会社を設立しました。
15年ほど前のことなのですが、当時はまだまだITリテラシーの高い人が少なかったため、私はITスキルやPCリテラシーなどを学べるE-learningのCDをパッケージ化し販売しました。 この事業も軌道にのり成長したのですが、だんだんとネットワーク経由でサービスを提供するASP(アプリケーションサービスプロバイダ)のービスが台頭してきて、CDのような実物を販売するビジネスは伸び悩み始めました。
そこで当時の幹部陣と議論を重ねて、新しい事業の方向性を見出そうとしましたが、当時の幹部はそのままの事業を継続したいという意思があったため、私が退いて現在のヘッドウォータースを新たに設立したのです。

-世界で通用する「ビジネス・エンジニア」を育てるということをおっしゃっていますが、具体的にはどのようなことを行っているのでしょうか?

篠田: IT関連の仕事をする中で私が疑問に感じたことは技術者のキャリアデザインです。 伝統工芸の職人であれば同じ仕事を一生続けて、技を磨き続けるということができると思いますが、ITエンジニアは職人ではありません。
よくエンジニアのことを「職人」と表現することがありますが、職人と言うには人数が多すぎるし、ITの世界は特に技術の遷移も激しいので、一つの技を磨くだけで生涯の食を得るのは困難です。
その中でエンジニアとして生き残るためには、技術だけではなくビジネスを学び、総合的に優れたビジネスマンになることが必要だと思います。
ただ良いものを作れば良いということはありません。会社で働いている以上は、エンジニアも利益を追求しなければいけない。さらには部下のマネジメントや対人コミュニケーションなど、ビジネスパーソンとしてのマインド・スキルが無ければ現場の作業者から上にはあがれません。
特に、他国では安価で優秀なエンジニアがたくさんいる中で、日本のエンジニアとして生きていくためには、より付加価値をつけなければ、日本の数分の1の人件費で雇える外国人エンジニアに勝てないですよ。

エンジニアが輝いている世界を作りたい

-技術者の育成に目を向けた理由は?

篠田:当社の社名であるヘッドウォータースとは「源流」という意味です。日本という小国が世界2位の経済大国にまで上り詰めた本質を考えてみると「優れた技術力」があったからだと私は考えます。
商社の営業マンがいくら優秀でも、販売している物が良くなかったら世界で認められない。つまり日本の製品・サービスが良かったからこそ急速に経済成長できたのです。技術力こそ日本の本質的な価値です。
しかし、技術者は必ずしも良い仕事ではないのが現状です。
素晴らしい技術者が稼ぎ続けられる、そして輝いていられるそんな組織を作りたいのです。

-技術者を輝かせるために御社で取り組んでいることとはどのようなことですか?

篠田:エンジニアという仕事を革新したいと思っています。単に開発を行うだけではなく、ITリテラシーが極めて高いビジネスパーソンになることが、多くのエンジニアのキャリアパスとしてスタンダードにしたいですね。
マーケティングも財務も分かり、ネゴも強いエンジニアがいたら最強じゃないですか。しかもフィールドは日本にとどまらず、グローバルで活躍できるエンジニアを生み出したいですね。
そんなエンジニアを育てるために、弊社では独自の制度がいくつあります。一例を出すなら、独自の事業部制があります。
事業計画をプレゼンし、計画が通れば20代でも事業部長になれます。事業部長になったものには経営者と9割方同じ権限を与えます。自分の給料も部下の給料も自分で決める権限を与え、予算管理や人材の管理など全ての責任も与えます。
給料を好きに設定できるからと言って、無駄に高い給料を設定すると事業が続けられなくなり、事業部は解散となります。その責任も背負った責任者は目先のことだけでなく、未来にことも部下のことも考えるようになりますよ。

日本の強みを生かし世界の覇者になれ

-グローバル化が進む中で、ビジネススキルだけでなく語学力も今後必要になりませんか?

篠田:私自身海外に出て感じたのは、国や文化を超えて人と信頼関係を築くためには語学力は絶対に必要です。
完璧な語学力はなくて良いのです。自分の考え・想い・情熱を自分の言葉で表現しないと、本当の信頼関係は築けませんから自分の言葉で伝えること。これば一番重要です。

-語学とビジネスマインドで日本の技術者は世界でも活躍できるということですね。

篠田:日本人の弱みは英語対応と、日本という強い市場にぶら下がり、独自の発展をしてしまった各企業がグローバルマーケットにアジャスト出来ないところにあります。例えばお隣の韓国は国内市場が小さいため最初からグローバル市場に向けてビジネスを考えている。
それに比べてまずは日本で成功してから海外へ。と考えている日本人ではまるっきりマインドが違いますし、日本で成功したものがそのまま海外で成功するとは限りませんから。 しかし、逆に日本人には圧倒的な強みがあります。
1つはチーム力。個の能力やスキルでは優秀なひとは世界中にたくさんいます。しかし優秀な個が集まってチームになった時に、全員が最大限の力を出せるのか、そうでないのかで大きな差が生まれます。世界レベルのビジネスは1人ではできませんから必ずチームで仕事をしますよね。世界中で日本人ほどチーム力が高い国民性は他にいませんから圧倒的な強みと言えます。
2つ目はホスピタリティ。チーム力にも繋がる部分ですが、他人への配慮などとても洗練された文化が日本の特徴です。
相手を思いやる。ビジネスにおいてはクライアント側の立場に立って考えられる日本人のビジネスマインドが世界で勝てる日本人の強みだと思います。

-今後の事業展開の目標は?

篠田:私はITとリアルの融合で「世界の人が日本の素晴らしいものをすぐ手に入れられる」そんな世界を実現したいと思っています。
弊社は中小企業向けに海外進出支援も行っていますが、他のコンサルティング会社などと違い、実際にクライアント企業と一緒に海外にいき、現場の声を聴き、クライアントと一緒にビジネスを作り上げていきます。
例えば先日アフリカに熱さましのためにおでこに貼る商品を持って行ったところ、現地の人に大人気でした。病気で熱があるからではなく、アフリカは熱いので涼むために冷えピタを首やおでこに貼って涼をとっていたのです。
日本人が当たり前だと思っている製品やサービスが海外では意外に人気になったりする。それは実際に現地に行って肌で感じないとわからないことも多いのです。
当社はクライアントに寄り添って海外での展開を成功に導きます。



篠田庸介

篠田庸介(しのだようすけ)さん
株式会社ヘッドウォータース 代表取締役

東京工科大学機械制御工学科を中退し、草創期のベンチャー企業に参画。2005年にヘッドウォータースを設立し代表取締役に。
著書に「生き残るSE(日本実業出版社)」がある。
現在はソフトバンクモバイル株式会社のテレビCMでもお馴染みのヒューマノイドロボット「Pepper」のアプリ開発でもトップクラスの実績を誇り業界をリードしている。

ご紹介者




滝澤宏隆

【篠田社長をご紹介頂いたのはこの方】
宮林隆文(みやばやしたかふみ)さん
株式会社アップグレード 代表取締役社長
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