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真田哲弥

設立わずか10年で150億円超の東証一部上場企業にまで成長し、快進撃を続けるKLab株式会社。その成功の軌跡と今後の展望を、代表の真田氏に聞いた。

チャレンジなくして成功はない!

-学生時代から起業されていたとのことですがKLab株式会社を立ち上げるまでの経緯を教えて下さい。

真田:私は関西学院大学在学中に、学生向けの合宿制の運転免許学校あっせんなど様々な事業を立ち上げました。その後大学を中退して上京し、iモードのビジネスモデルの原型となるダイヤルQ2を利用した音声及びFAXによるコンテンツプロバイダを設立しました。
その後、97年に株式会社アクセス(現:ACCESS)で会社員としてiモードの仕様策定、ブラウザ開発に携わり、98年にサイバードを設立。そのサイバードのR&D部門として2000年に携帯電話向けソフトウェア研究開発型企業としてKLab(ケイ・ラボラトリー、当時)を設立しました。
その後KLabはモバイルオンラインゲーム分野へ事業転換し、2011年に東証マザーズに上場。そして8カ月後には東証1部に上場しました。

-学生時代からのたくさんの起業経験が、わずか10年でKLabを上場企業まで育てあげる原動力となっているのですね。

真田:「結果を恐れずチャレンジしなければベンチャー企業の成功はない」という信念のもと、とにかく動いてたくさんの出会いからチャンスをつかみ取ってきました。
しかし転機となったキッカケは97年にわずか1年だけですが、株式会社アクセスという会社に社員として入社して会社勤めを経験したことです。
これから訪れるネット時代に向けてネットの仕組みを学ぶ為に会社勤めをしました。
そのおかげでネット技術の本質を学ぶことができましたので、学生起業のノリのままでKLabを立ち上げていたら、今と同じ成功はつかめていないかもしれません。

世界分業で最適な場所に最適なビジネスを

-アメリカ、中国、シンガポール、フィリピンなどに既に現地法人を設立してグローバルに展開されていますが、グローバル展開で苦労された事などはありますか?

真田:商習慣の違いは大きいです。よく、「アジアは欧米と違って日本文化に近い」と言う人がいますが、ビジネスにおいては必ずしもそうではないです。
日本のビジネススタイル自体がアメリカなどの欧米のスタイルをベースにしていることもあり、現地法人の中で一番日本に近いなと感じるのはアメリカです。
アジアの国々は、日本で常識だと思っていることがまだまだ通じない事が多いです。

-それぞれ文化も言語も違う国で事業を展開していくために気を付けている事や取り組んでいることはありますか?

真田:当社は「世界分業体制」を掲げています。それぞれの国の文化や経済規模にも違いがありますから、それぞれの国に合わせたビジネス展開をしていくということです。
例えばアメリカは技術者の人件費が日本の倍以上。しかし情報収集や企画を作るうえでは最先端のサンフランシスコに法人を置くメリットは大きい。
中国は人件費が安く、古くから「絵画」の文化が栄えているためか2Dのグラフィック制作などに最適です。
フィリピンについては人件費は安いがエンジニアレベルはどんどん成長しています。技術開発拠点としての大きな可能性をもっていると考えます。
シンガポールは家賃も人件費も高いのですが税金が安いというメリットがあります。
それぞれの国に合った最適のビジネスを配置する事で、世界分業体制を作っています。

世界でトップのオンラインゲーム会社になる

-御社の中核ビジネスであるモバイル端末向けのオンラインゲーム事業を今後どのように成長させたいと思っていますか?

真田:2014年時点ではまだ海外売上比率が12%程度でしたが、これを50%以上にまで持っていきたい。2001年には約3%が海外売上でしたから、既に4倍以上には拡大しています。

-世界全体でのオンラインゲーム市場は今どのようになっているのでしょうか?

真田:ゲームの世界最大市場は日本です。次いでアメリカも大きいのですが、もうそろそろ中国の市場規模がアメリカを抜くと言われています。つまりアジアの市場が最も大きい市場なのです。
しかし日本でヒットしたゲームがそのまま海外で成功はしません。同様に、海外で成功したゲームもそのまま日本でヒットするとは限りません。
それぞれの国に合ったプロモーションを展開すべく、弊社では今後タイや台湾などの国にも駐在員を増やし、現地でのプロモーションを強化していく予定です。

-ゲームの内容については、各国でヒットする作品の特徴や違いなどあるのでしょうか?

真田:例えば当社の一番人気作品は「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル(http://lovelive.bushimo.jp/)」というリズムアクションゲームです。
中国・韓国・台湾などのアジア圏でも同様にヒットしています。
しかし、欧米ではアジアほどヒットしていないので、欧米向けには人気海外ドラマの「Glee」のリズムアクションゲームのリリースを予定しています。

日本の優位性を最大限生かす

-今後の御社のビジネスの展望をお聞かせ下さい。

真田:発展途上国に置いても、モバイル端末の普及率は増え続けます。モバイル端末向けのオンラインゲームの市場は確実に拡大します。
その分競争も激化しますが、日本には様々なアドバンテージがあります。
日本はスマホの普及が比較的速く、特にモバイルオンラインゲーム市場の成長が速かったため、世界をリードしています。
さらに言語バリアも優位に働いています。

-英語ができない日本人はグローバル市場では不利だと言われる中で、逆にその言語バリアが有利に働いているということでしょうか?

真田:逆に外国人側の言語バリアを有利に捉えています。我々日本人は英語のゲームでも、それなりに英語が分かりますし、なんとなくプレイできてしまう。中国語も漢字が分かるので多少意味が理解できますよね。海外で流行っているゲームをいち早く体験し、情報を得ることができるのです。
しかし、日本語が分からない外国人が日本で流行っているゲームをプレイしてみてもその良さを肌感覚で分かることは難しい。
最大市場である日本向けのコンテンツが作れないというデメリットがあるのです。

-日本人はグローバル化が遅れている、内向きになっているなどと言われますが、もっと自信をもって世界に出ていけるという事ですね。

真田:現代においてはグローバルに展開することは容易にできます。
例えば高度経済成長期を支えた、製造業の会社などは当時海外に出ていくためには現地に製造拠点を作り、販売網を作り、膨大な労力とお金を投資して海外に出て行っていたと思います。
しかしオンラインビジネスでは、クリックひとつで世界中に製品・サービスを販売することが可能になります。反面、ただ世界に発信するだけでは売れないのでそれぞれの国・文化を理解し、ビジネスを展開していくことが必要です。
その為には日本国内だけではなく、世界に目を向け、世界視点で物事を捉えることです。



真田哲弥

真田哲弥(さなだてつや)さん
KLab株式会社 代表取締役

関西学院大学在学中からさまざまな業種の会社を設立。
1989年にダイヤルQ2を利用した音声及びFAXによるコンテンツプロバイダを設立。
97年からは株式会社アクセス(現:ACCESS)でiモードの仕様策定、ブラウザ開発に携わる。98年にサイバードを設立、取締役副社長&CTOに就任。
2000年、サイバードのR&D部門として携帯電話向けソフトウェア研究開発型企業KLab(ケイ・ラボラトリー、当時)を設立、代表取締役社長CEOに就任。

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