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豊田圭一

若者の内向き志向や世界で日本の存在感が薄れていることに危機感を覚えている企業も多い。
社員のマインドをグローバルに変える研修として人気テレビ番組「ガイアの夜明け」にも取り上げられたグローバル人材育成プログラムを主宰する株式会社スパイスアップ・ジャパンの代表の豊田圭一氏に話を伺った。

企業の現場が求める「新興国市場向きの人材」

-東南アジアを中心に、現地で実践型研修の実施やインドで語学学校を立ち上げるなど、積極的に現地でビジネスを展開されていますね。

豊田:私自身が事業家として世界で活躍できる人材でありたいと思っています。その為には自分が海外で事業を興さないことには何もはじまりません。

-スパイスアップ・ジャパンを立ち上げる前から海外経験があったのでしょうか?

豊田:私は幼少期の5年間をアルゼンチンで過ごしました。また、大学時代にはバックパッカーで世界を旅しました。その後、大手ゼネコンに入社し、海外事業部に関わりました。
その後、先輩2人が独立して立ち上げた留学事業の会社に参画し、留学コンサルタントとして15年間働きました。当時はアメリカなどの欧米を中心に中高生の留学や大学進学などの支援を主軸にしていました。

-欧米圏中心からアジアに方向転換された理由は?

豊田:企業の現場からの声です。「人材のグローバル化が進んでいない」「海外駐在を嫌がる社員が多い」「先進国ではなく、新興国市場を開拓できる人材を育成したい」などの声が多く聞かれました。 さらに、「育成のために社員を業務から外すことが出来る期間は1週間」という声も多くありました。
留学の専門家として働いていた私にとって、短期間で語学力やビジネススキルなど高度なスキルを身に付けることは不可能だとわかっていました。
しかし、短期間で結果を求められているのであれば、長期留学やインターンシップで得られるような「語学力」「スキル」「知識」「海外での職務経験」などは諦めるしかない。
1週間で最大限何ができるのか?と突き詰めて考えたところ、マインドを変えることだと思ったのです。
とにかく現地を体験・体感し、「グローバルな環境や状況を楽しみながら成果を出せる人材」を育成することだけに特化した「ミッション・グローバル」という研修プログラムを作ったのです。

1週間でマインドは変わる!

-研修でマインドを変えるとの事ですが、1週間の研修でどれくらい変わるのでしょうか?

豊田:1週間でかなり変わります。逆に1週間で変えられるのはマインドだけだと思います。前述したように実践的な語学力などを短期間で身に付けることは難しいのです。
わかりやすい例でいえば、積極的な姿勢です。
日本人の多くはセミナーや講演を聞いてから「何か質問がある方?」と問われても何も質問しないで黙ってしまう人が多い。しかし、講演終了後に講師に駆け寄って個別に質問する人たちも必ず何人かいます。ミッション・グローバルに参加する人たちも最初は全然手が上がらなくても、研修の最後には全員手があがるほど積極的で、成長に貪欲になりますよ。
特に英語で質問しなければいけない場面になると、「失敗したくない」「恥ずかしい」という理由から質問できない人が多い。失敗してもいいからチャレンジすることが大事なのです。
私自身、セミナーなどを聴講した際には必ず一番に手を挙げて質問するようにしています。質問すると決めていると必然的に講話をちゃんと聞こうとしますよね。そして講師としてもちゃんと聞いてくれる人に対して好意的に接してくれる。
受講態度が変わればそれだけで様々なプラスの効果が表れるうえに、自分自身の学びも深まります。

第二言語を習得することで、よりアクティブな人材になる

-ミッション・グローバルの研修では、「語学力に依存しないコミュニケーション力」も鍛えると言っていますが、語学力に依存しないコミュニケーション力とは?

豊田:研修では7つの力が鍛えられます。
「自ら考えて行動する主体性」「突破力・実行力」、「あらゆる状況に対応できる力」「パッションを持って巻き込む力」「くよくよしないメンタルタフネス」「どこでもやっていける自信・意欲」、そして「語学力に依存しないコミュニケーション力」です。 現地に放り込まれたら考えるよりも先に行動するしかない。
日本の文化は洗練されていて、教育水準も高い。技術力などビジネスでも強い力を持っているのになぜか海外ではプレゼンスが低いのは、世界でそれらの力を発揮できていないからなのです。
その為には完璧な語学力ではなく、世界中の人たちと通じ合える・やり取りができるコミュニケーション能力のほうがずっと重要なのです。

-語学力が無くても海外で仕事をできるのでしょうか?

豊田:もちろんある程度の語学力は必要ですし、語学力は高ければ高い方が圧倒的に良いです。
第二言語を習得した経験のある方はよりアクティブというデータもあります。
言葉の通じない相手とのコミュニケーション経験があるため、知らない言語で対応を迫られても何とかコミュニケーションをとれるから、バイリンガルの人は、恐れずに外に飛び出せる人材が多いように思います。
ただ、突然語学ができるようになるということはありませんから、先ずは語学力ではなくコミュニケーション力です。日本語でもコミュニケーションが下手だと仕事も会話もうまくいかないですよね。



豊田圭一

豊田圭一(とよだけいいち)さん
株式会社スパイスアップ・ジャパン 代表取締役

上智大学を卒業後、清水建設で約3年の勤務後に海外教育コンサルティング事業で独立。15年以上に渡り、アメリカを中心とした英語圏各国への大学・大学院留学や海外インターンシップ事業に携わる。
その傍ら、2003年にSNS開発会社、2005年に国際通信会社を起業。2005〜2007年には厚生労働省の委員を務めた。
現在、東南アジアやインドにて企業向けのグローバル人材育成(海外研修)に従事するほか、インドのバンガロールで英語学校を、カンボジアのプノンペンでカレー屋を運営中。
著書は『とにかくすぐやる人の考え方・仕事のやり方』『引きずらない人は知っている、打たれ強くなる思考術』など全14冊。
その他、早稲田大学トランスナショナルHRM研究所(招聘研究員)、NPO留学協会(副理事長)なども務める。


【著書のご紹介】

豊田圭一さん著書のご紹介

『引きずらない人は知っている、打たれ強くなる思考術』
豊田圭一著/クロスメディア・パブリッシング発行

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