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萩原和之

2社のオンラインゲーム会社の上場に大きく関わったキーマンが語る事業戦略とは!?株式会社Aiming取締役COOの萩原和之さんに話を伺った。

オンラインゲーム市場で世界から遅れをとったゲーム大国

-萩原さんが上場に関わったゲーム会社はAimingが2社目で、どちらもオンラインゲームの会社と聞きました。

萩原:私は2001年から株式会社ゲームオンという韓国資本の会社へ創業期から参画し、2006年に東証マザーズに上場しました。その後Aimingにも2011年の創業期から参画。2015年3月にAimingも東証マザーズに上場しました。
私のゲーム業界のキャリアは株式会社セガ(現:株式会社セガゲームス)でゲームの製作に携わるところからだったのですが、当時のスタッフとゲームの研究も兼ねて国内外のゲームを多く遊んでいました。その中でも、複数人が離れた場所でも同時に遊べて楽しさを共有できる、アメリカ製のネットワークゲームに出会ったときに、大きな衝撃を受けました。
ゲームを遊ぶために据え置きハードを買わないといけない上に、当時ネットワーク経由で遊ぶ事に多くの制約があったコンシューマゲームよりも、オンラインゲームに可能性があることに気付き、オンラインゲームを専業にしているゲームオンに移ることを決意したのです。

-いち早くオンラインゲームに目を付けたことが成功の秘訣なのですね。

萩原:実は全てが順調だったわけではなく、私がゲームオンに参画した2001年は、日本ではまだブロードバンドインターネットが普及しておらず、日本市場でオンラインゲームを展開するにはまだ早すぎてなかなか思うように事業が成長しませんでした。
韓国の場合は、1990年代後半から国策でインターネット事業を推進し、ブロードバンドやオンラインゲームの市場が早く発達していたのですが、日本は遅れをとって2002年頃からやっとブロードバンド化が始まり、ようやくオンラインゲームにもスポットライトが当たるようになりました。

-なぜゲームオンから離れ、同じ業態のAimingに参加したのでしょうか?

萩原:ゲームオンでは韓国製をはじめとした海外のゲームを日本に輸入し、ローカライズしてサービス展開していましたが、私たちはゲームを開発していた訳ではありませんので出来ることが限られていました。
人気のあるゲームであれば、お客様が続編やグッズ等の派生商品などを期待しますが、コンテンツを自由に作る権限がこちらに無いために、そうしたお客様の声に応じることが難しかった。
やはり、自分たちが責任をもち自分たちのコンテンツで勝負するチャンスを作ることが出来なければ、僕が望むオンラインゲーム事業での成功は難しいと思い、経営メンバーがオーナーシップを持って事業に臨める企業として、ゲームオンで同僚だった椎葉が代表を務めるAimingに事業の責任者として加わりました。

記憶に残るゲームを作りたい

-日本はまだまだゲーム大国だと思っていましたが、今では世界の勢力図も変わっているのでしょうか?

萩原:日本では「ゲーム」といえば、ファミコンやプレイステーションなどの据え置き型ゲーム機がまず頭に浮かぶと思います。しかしゲームハードの性能が大きく進化し、その性能を活かすためのゲーム開発に莫大な開発費が掛かるようになってしまったため、どんな会社でも気軽にゲームを開発できる状態には無くなりました。
加えて消費者も、ゲームをプレイするためだけに高価なハードを購入しなくなり、ガラケーと呼ばれるフィーチャーフォンでは基本無料で誰でも気軽にゲームを遊べるようになったために、日本では1997年の約7600億円をピークに、据え置き型のゲーム市場は縮小傾向になっています。
しかし、ゲームハードが高価であることや、海賊版の問題等からメーカーが積極的に据え置き型ゲーム機を日本国外で展開しなかった背景もあり、中国・韓国をはじめとした東アジアでは、PCでのゲーム、とりわけPCで遊ぶオンラインゲームこそが「ゲーム」であり、市場をけん引してきました。
海外では、老若男女問わず、スマホで気軽にゲームを楽しんでいる人たちの姿をよく目にします。スマートフォンは携帯電話であるにも関わらず、非常に高性能なオンラインゲーミングデバイスでもあるので、スマートフォンにある豊富なゲームコンテンツに触れることによって、今までゲームをやったことが無い人たちもオンラインゲームに気軽に触れることが出来るようになった影響はとてつもなく大きいものだと思います。

-世界で競争が激化するゲーム市場において御社のグローバル戦略とは?

萩原:まずは携帯電話インフラがきちんと整備されている日本で、スマートフォンのオンラインゲームにおいて、他社には真似できないゲームを作れる会社になろうということが最初でした。さまざまな種類のオンラインゲームでトライした結果、スマートフォンにおける同時接続型のRPGゲーム(MMO-RPG)の開発力に関しては、日本国内でも有数の企業になれたと思っています。
海外については、遊びの感覚も近いしオンラインゲームがゲーム産業の中心となっている、韓国・中国・台湾などの東アジアの優先度をあげてビジネスを展開しています。
弊社で事業展開を行うメンバーの多くは、長い間海外産のPCオンラインゲームを扱ってきたこともあり、海外企業との付き合い方を含めて、多くの人脈や経験を持っているためです。
また、フィリピンに英語圏のお客様向けサポートセンターを置き、台湾にはグラフィックスタジオを置いています。日本や欧米よりも人件費の安い地域にコストセンターを置くことで、コストを抑えることができ、ゲーム開発や運用により多くのリソースを使えるようにしました。
海外での事業展開はチャンスが多いですが、その反面、失敗したときの経済的なダメージが大きいです。しかし、失敗を気にしてしまうと、どうしても保守的になり、チャンスを掴む機会を逃してしまいます。私たちとしては、まずは運用やローカライズの費用を安くすることで、世界でゲームを展開する「トライ」を増やす努力をしています。

-グローバルにビジネス展開するために社内で取り組んでいることなどはありますか?

萩原:とにかく色々なゲームをたくさんやることを推奨しています。
日本だけではなく、世界で流行っているゲームも多く遊び、世界基準で売れているゲームが「なぜ売れているのか」を理解できなければ、私たちも世界に通用するゲームは作れないと思っているからです。より多くのゲームを知ることで、初めて面白いゲームを作れるスタートラインに立てると思っています。
そうして国境を超える面白さを正しく理解することで、世界中のお客様に「Aimingの作るゲームは全てオモシロい!」と言ってもらえるようになりたいですね。

-オンラインゲーム市場の今後の展望は?

萩原:先にお話しした通り、スマートフォンは携帯電話であるにも関わらず、非常に高性能なオンラインゲームデバイスです。ゲームを遊ぶ事を目的としてPCやゲーム機を買わなくても、面白いゲームが手元の電話で簡単に遊べてしまうわけですから、今までゲームに触れなかった人も気軽にゲームを遊ぶようになり、世界のゲーム人口は当分増えていくと思います。
そして、オンラインゲームの特徴は「人と一緒に遊べる」ということにあります。
ゲームはそのうち飽きるかもしれませんが、人付き合いに飽きるということはないですよね。一緒に遊ぶという事が一番楽しいのです。スマートフォンを始めいろんなデバイスがどんどんネットに繋がっていく中で、オンラインゲームの可能性は大きく開けていると思っています。
ゲームを通じて人と繋がることができるのはオンラインゲームの最大の魅力です。私達はそんなオンラインコミュニティーで多くの人の記憶に残るゲーム作りを目指して行きたいと思っています。



萩原和之

萩原和之(はぎわらかずゆき)さん
株式会社Aiming 取締役 COO(最高執行責任者)

1973年生。電気通信大学出身。株式会社セガからゲーム業界でのキャリアをスタートし、2001年より株式会社ゲームオン創業メンバーの一人として、同社の発展を支えた。執行役員システム管理本部長を経て、2008年3月同社取締役オンライン事業本部長に就任。
日本オンラインゲーム協会(JOGA)の理事も兼任し、オンラインゲームのセキュリティの第一人者として、JOGAセキュリティ分科会の初代座長を務める傍ら、日本で大きな実績をあげているオンラインシューティングゲームの「A.V.A.」を成功に導いた。
2011年10月に同社取締役を退任し、2012年4月から現職。
10年以上のオンラインゲームのシステム構築及び運用から事業の展開までの深い経験と知識をもとに、「剣と魔法のログレス いにしえの女神」を始めAimingでも多くのゲームの成功を支えている。

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