特集

深田洋輔

楽天・三木谷浩史代表率いる新経済連盟による新経済サミット2015のピッチコンテスト「NES STARTUP COMPETITION」で第1位に選ばれた、今注目のスタートアップYOYOホールディングス。新興国のモバイルインターネット接続を無料にする「PopSlide(ポップスライド)」を提供する同社共同創業者兼CEOの深田洋輔氏に話を伺った。

世界の2/3はインターネットに接続されていない貧困層

-「新興国の人々が無料でインターネットを使えるサービス」との事ですが、具体的にどのようなサービスなのでしょうか?

深田: PopSlideは、スマートフォンのロック画面に表示される広告や動画CMを見ることでポイントを貯めることができるリワード広告アプリです。そのポイントは通信料金に還元できる仕組みでして、利用者はインターネットを実質無料で利用できるようになっています。
たとえば、民放のテレビやラジオは無料で視聴できますよね?あれはスポンサー企業のコマーシャルが入ることで、視聴者側の費用負担を無料にしています。それと同じことをインターネットに適用したサービスが弊社の「PopSlide」です。

-広告を表示することでサービスを無料にするというビジネスは今までもありましたが、インターネットに接続する事自体を無料にするというのはユニークなアイディアに思います。なぜこのサービスを思い付いたのでしょうか?

深田:学生時代から大きな社会問題をビジネスで解決したい、という想いを持っており、その中でもBOP(Base of the Pyramid)ビジネスと呼ばれる貧困層を対象とした事業に興味を持っておりました。すでに世界の多くの人々は携帯電話を持っていることを知り、「東南アジアxモバイル」をキーワードに起業しようと様々なプランを考えていました。しかし、豊かな日本に住みながら机上の空論でビジネスプランを考えるだけでは本当にいいサービスなんて作れるわけがない。そこで、当時勤めていた企業を退職し、新興国の市場調査も兼ねてフィリピンに語学留学にいきました。
そしてフィリピンの人々と生活をともにすることで意外な事に気付きました。
彼らのほとんどはスマートフォンを持っています。でも支払いは日本のような「利用料金を毎月決まったタイミングで支払う」のではなく、「プリペイド」。なので、うっかりロード(残高)が足りなくなると連絡が出来なくなってしまう。特に驚いたのが、そのプリペイドのロードを友達同士で売買したり、お店で売買することで流通したりしていました。しかも日本円で10円単位くらいの少額でロードを売買しており、超少額決済のインフラが存在していました。

-固定で通信料金を払えない人たちでもスマートフォンを所有しているのですか?

深田:端末は非常に安価に手に入るので、スマートフォンの普及率は意外と高いです。
世界に約70億人の人口がいると言われていますが、その約2/3がインターネットに繋がっていない。しかし、モバイル端末やスマートフォンを持っている人は多いと言われます。 たとえばフィリピンでは1,500ペソ(約4,000円)程度でスマートフォンが手に入ります。平均月収が3万円程度ということを考えると、ほとんどの人が購入可能なものとなっており、すでに多くの人々がスマートフォンを所有し、利用しています。
しかし通信費が高額なため、スマートフォン所有者であってもインターネットをなかなか使えない人が多いのが現状です。

-「貧困」のように世界的な大きな社会問題に立ち向かう理由は?

深田:ビジネスとは問題を解決するために存在するべきで、解決する問題は大きければ大きいほうがいいと思っています。大きな社会問題といっても、教育、環境、医療などたくさんありますが、ビジネス領域として最も大きなポテンシャルがあり、今後短期間のうちに大きなイノベーションが起きる分野はBOP領域だ、と考え、貧困問題をテクノロジーとビジネスを通じて解決することに挑戦すると決めました。
特に、グラミン銀行創始者のムハマド・ユヌス博士の本に強く影響されました。
グラミン銀行はマイクロファイナンスと呼ばれる超小口の無担保融資を提供しており、人々が自営業を営み、自立していくサポートを行うことで貧困から脱出することを目指す金融サービスです。グラミン銀行は貧困層向けのサービスですが、慈善団体ではなく利益も追求されて成功しています。ファイナンスという切り口以外にも、モバイルを通じて人々を豊かにできる事業は作れると考えています。

世界でも勝てる優秀な日本人人材

-インターネットに接続できる人が増えることで、どのように貧困問題が解決されるのでしょうか?

深田:「貧困」の定義についてですが、私はお金が無いことが貧困と定義しておらず、「機会(Opportunity)」が無いことが貧困だと思っています。
教育の機会や医療を受ける機会など、平等な機会が与えられずに貧困から抜け出せない人々が世界の過半数を占めています。
インターネットにつながることで、学校に行かなくても24時間365日、どこにいても教育を受けることができる。病院に行かなくても画像や映像で一定レベルの診断を受けることができる。様々な可能性が広がるのです。

-現在はフィリピン、インドネシアでビジネスを展開されていると思いますが、今後の展開は?

深田:5月にベトナムでPopSlideをリリースしました。アジアを中心にサービスを展開していますが、その後はほかの国や地域にも展開していきます。

-国によって文化や宗教の違いなど苦労することも多いのではないですか?

深田:当然苦労することもありますが、新しいチャレンジがうまくいかないことは当り前だと思っています。うまくいかないことがあっても、やりながら答えを見つけていくしかない。誰よりも早く失敗をして、失敗から学んで改善し、最善のサービスを誰よりも早く作り上げていくことが大事だと考えています。
スティーブ・ジョブス氏の有名な言葉で「If today were the last day of my life, would I want to do what I am about to do today?(もし今日が人生最後の日だとしたら、今やろうとしていることは 本当に自分のやりたいことだろうか?)」と言う名言があります。 私は常にこの言葉を意識し、後悔しないように毎日全力でやりたい事をやっています。

-やらない後悔よりも、チャレンジすることが大事なのですね

深田:最近よく「日本の若者は内向きだ」というような言葉も耳にしますが、海外に住んでいると全くそんなことは感じません。海外で活躍している若い日本人にたくさん出会います。
日本人は真面目で責任感が強く、仕事のクオリティーが非常に高い。こんな優秀な国民は稀ではないでしょうか。技術レベルも世界のエンジニアに負けないと思います。



深田洋輔

深田洋輔(ふかだようすけ)さん
YOYOホールディングス共同創業者兼CEO

大阪大学卒業後、大学院にて経営学と工学を2つの修士号を取得。2009年株式会社ディー・エヌ・エー入社。その後、単身フィリピンへ。2012年10月にYOYOホールディングスをシンガポールで創業。新興国のモバイル通信料を無料化するロックスクリーンアプリ「PopSlide」を開発、運営。Echelon 2014フィリピン優勝、アジアTOP10スタートアップに選出。Infinity Ventures Summit 2014 Launch Pad準優勝、新経済連盟「NES Startup Competition」優勝と、国内外のスタートアップピッチ大会で注目を集める。AERA「アジアで勝つ日本人100人」に選出。

ご紹介者




加藤順彦

【深田社長をご紹介頂いたのはこの方】
加藤順彦(かとう よりひこ)さん
株式会社シャンデリ屋 代表取締役社長
加藤社長の記事はコチラ

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