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八楽

「機械」+「人間」と言う独自の翻訳プロセスで、自動翻訳だけでは叶わなかったニュアンスや表現を実現している翻訳サービス「ヤラクゼン」。新しい翻訳の形を提案している八楽株式会社の坂西社長に話を伺った。

留学先のアメリカでの起業を経験

-米国での起業経験があると聞きました。

坂西: アメリカで働いてみたくて、日本の大学卒業後にUCLAに1年間留学しました。
アメリカでは1年以上留学をすると、Optional Practical Training(OPT)という1年間就労できるビザを取得することができるのです。
私はUCLAのコース修了後にニューヨークに渡り、ベンチャー企業でメディアの立ち上げなどを経験し、アメリカで起業しました。
外国人である私がアメリカで働く為にはビザが必要です。通常は会社に勤めることで、勤務先の会社が保証人となってビザをサポートしてもらえるのですが、私は自分で会社を立ち上げて、自分の会社で自分のビザをサポートすることにしたのです。
日本人ではあまり前例がなかったらしく、様々な移民弁護士に相談してなんとか米国での就労権利を手に入れたのです。

-はじめての起業でしかも海外で起業することは苦労も多かったのでは?

坂西:大学で会計を学んでいたことと、ベンチャー企業でゼロからメディアを立ち上げた経験もあったので、起業することには不安はありませんでした。
しかし、立ち上げてすぐにいくつかの問題がおきました。
一つはIRSというアメリカ合衆国内国歳入庁(連邦税に関する執行、徴収を司る政府機関)から初年度の納税についての連絡が来たこと。収入がなければ税金を払えないので頑張って収入を得る必要がありました。
そしてもう一つは、頼っていた知人たちがアテにならないとわかったことです。
起業前はたくさんの人が「会社作ったら仕事を発注するよ」と言っていたのですが、いざ会社を立ち上げたら誰も実際に仕事をくれる人がいなかった。
しかしこれらの問題のおかげで私は日本人コミュニティーだけでなく、現地の人たちの為のサービスを作る事にフォーカスすることができ、結果としては業績が良くなりました。

学び直しからの再出発

-米国で軌道にのった事業を捨てて日本に帰国されたのですか?

坂西:元々日本に戻る予定だったので、軌道に乗った事業を仲間に譲って帰国しました。
しかし日本でビジネスをやるためには、また日本で学び直す必要があると考え、プログラミングの勉強などをしながら起業に向けてリサーチするなど準備をしていました。
リサーチしてみると、ITの発展に伴い「翻訳」の市場が伸びているのです。
そしてオンライン人口を見てみるとアジア人ユーザが50%以上を占めていることにも目を付けました。アジアには様々な言語があり、ネット上では多様な言語がつかわれている。ネット上での言語サービスはチャンスがあると感じたのです。

-自動翻訳の仕組みなどを開発されていますが最初はどのようにスタートしたのでしょうか?

坂西:弊社のサービスは最初は掲示板形式で翻訳を依頼したい人と翻訳出来る人達が交流できるような場を作っていました。競合の少ないニッチな市場でビジネスをする為、アニメ関係のEC事業を手掛け、アニメなどの日本文化が好きな人達向けに翻訳を行っていたのです。
また、資金の必要があったので、横浜ビジネスグランプリなどのビジネスコンテストに参加して優勝し、エンジェルから得た3,000万円を元手に人材採用やシステム開発を進めてきました。

-成長市場に目を付けて順調に経営されているのですね。

坂西:実はずっと右肩上がりで成長してきたわけではなく、何度も軌道修正しながら今のシステムにたどり着いているのです。
アニメに特化したEC事業から、SNSに翻訳アプリを組み込んだりと様々なことを試してきました。そんなある日、たまたま年末年始に私がインドを放浪したときに偶然の出会いがあったのです。
インドで人口知能を研究している人と出会い意気投合し、ウェブ翻訳システムの本格開発が始まりました。

-音声認識ソフトなども発達し、今後は人を介さずに多言語コミュニケーションが可能な世の中になるという見方もありますが、御社では今後どういう方向にサービスを展開していくのですか?

坂西:単純な会話や定型文に関しては機械翻訳がもっと発達するでしょう。しかし機械が100%正しい翻訳をできるようにはならないと思います。
人それぞれのコミュニケーションスタイルや表現がありますから、私達はまずは「日本人の英語の読み書き」にフォーカスしてサポートしていくシステム作りを目指しています。

多様な職場環境がより良いサービスを生む

-現在17カ国語ほど翻訳対応しているとのことですが、社員の方々も皆さん言語が達者な方々なのでしょうか?

坂西:弊社に翻訳家がいるわけではなく、あくまで翻訳システムの開発をしているのですが、社内にはスウェーデン、台湾、韓国、中国、レバノン、インドネシア、アルゼンチンなど、様々なバックグラウンドを持ったスタッフが働いています。
言語によって特性や構成の違いがあります。日本人が英語学習において苦手としていることと、他国の人たちが苦手としていることは違うのでそこをうまくミックスしてよりお互いの言語の理解を深める活動は推進しています。

-お互いの理解を深める活動とは具体的にどのようなことをしているのでしょうか?

坂西:業務終了後の飲み会など交流を促進させるようにしていることもありますが、ユニークな取り組みとしては「ライフプレゼンテーション」をやっています。「ライフプレゼンテーション」とは自分の生まれや育ちなど、自伝を皆と共有することです。
日本人にとっては当り前の環境で育っていても、他国の人がみると新鮮で驚く事がたくさんあります。お互いの事をより深く理解するだけでなく、多くの学びを得ることができるオススメの活動ですよ。



山田 尚貴

坂西優(さかにし すぐる)さん
八楽株式会社 代表取締役

早稲田大学卒業後、渡米。オンラインマーケティングの仕事に数年携わった後、日本に帰国し八楽を設立。「機械」+「人間」と言う独自の翻訳プロセスで多くの賞を受賞している。

ご紹介者




山田 尚貴

【坂西社長をご紹介頂いたのはこの方】
山田尚貴(やまだなおき)さん
株式会社エニドア 代表取締役 
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