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違った自分を発見!ボランティアで育つ心と国際力

グローバル化が叫ばれる昨今、海外ボランティアの経験は実社会で活きるのか。 独立行政法人国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊事務局審議役の青晴海氏と、世界39カ国の連盟国と異文化交流を行うICYEジャパン日本事務局長の宇梶朋子氏にうかがった。

人とのふれあいで成長できる

天野:まずはご自身がボランティア団体で働くことになったきっかけを教えて下さい。

宇梶:私はもともと海外への興味があり、ただ語学を学ぶだけではなく、様々な体験をしたいと思い学生時代にICYEのボランティアプログラムに参加しました。
帰国後、就職活動をする中で、より多くの若い人たちにボランティアで海外に行くことを広めたいと思い、働くことを決めました。

青:私は以前、国際協力銀行で発展途上国に円借款を融資する仕事をしていました。
その際にも青年海外協力隊事業に関心を持っていました。
3年前に国際協力銀行の円借款部門とJICAが事業統合することとなった際、青年海外協力隊事業を是非担当したいと希望し、現在の仕事をすることになりました。

天野:「留学」ではなく「ボランティア」に行くことのメリットは何でしょうか?

青:開発途上国の現場の課題を解決するという活動を通じ「違う自分が発見できる」という事と「心の柱が育つ」ということだと思っています。
海外に出ることで広い視野で物事を見ることができます。また、言語や文化の壁にぶつかってそれを乗り越えることで精神的にも強くなるんです。

宇梶:社会に出たとき「失敗を恐れずチャレンジしようと思う自信」が付くという事ではないでしょうか。
ボランティアは座学での勉強などとは違い、実際に人と触れ合い一緒に活動をします。
毎日の活動の中では失敗も沢山経験しますが、ボランティアであれば失敗しても次のことにチャレンジできます。
それを繰り返すことで、失敗から学ぶこと、そして新しいことにチャレンジすることの良さや楽しさが身につきます。
「ボランティア=自ら進んで行う活動」です。その活動を通して得た学びや経験が人とのつながりや視野の拡大につながり、自信として実になります。

社会に還元できるような経験を積む

天野:ボランティア活動を経験された方々のその後の進路はどういう可能性がありますでしょうか?

宇梶:ICYEの参加者は大きく3パターンに分かれていると思います。
1つ目はボランティア活動終了後にまた違う国へボランティアや学びに出る人達。
2つ目はボランティア活動で得た経験や知り合った人脈を活かして、日本国内で仕事を見つける人達。
3つ目は再び大学などに通いなおして再教育を受ける人達です。
ボランティア活動を通じて、あらたに何かをやりたい。もっと学びたい。という前向きな精神が芽生えていると思います。

青:JICAは毎年約2,000名のボランティアを開発途上国に派遣しています。
自治体や企業を休職をしてボランティア活動に参加する人は、活動後に元の職場に戻ることになります。
教員の方は、現職派遣制度を利用して参加される方も多くいます。

天野:教員の方が(ボランティアを経験して)自身の経験を生徒に伝えられると凄く良い教育になるのではないでしょうか?

青:その通りです。
実際に教員の方が経験したことを生徒に伝えると、説得力も違いますし、生徒は経験に基づいた話に凄く影響を受けると思います。
JICAのミッションの一つとして「経験の社会還元」というものがあります。
ボランティア体験者が帰国してからその経験を活かしてどう社会に還元していけるか、という点を考えたプログラム作りを目指しています。

ギャップイヤーなどの制度で経験重視の社会制度を

天野:仕事や学校を長期間休むということはなかなか難しいと思いますが、ボランティア参加者は増えているのでしょうか?

青:実はボランティアに応募される人数は長期的には減少傾向です。
海外の治安の問題や少子化などの理由はあると思いますが、文化的な部分も大きいのではないでしょうか。
日本では寄り道することはマイナスに考えられます。
浪人しないように、新卒で就職できるように、と寄り道をしないことが良しとされています。
世の中に無駄なことなんてないんです。
色々な経験をすることで「自分の軸」を作ることの方がプラスになります。
最近ではギャップイヤーの導入について色々なところで議論されるようになっていますが、ギャップイヤーのような制度が社会的に理解される社会となって欲しいと思います。

宇梶:海外では道草は良いとされています。
企業にしてもストレートに大学を卒業した若者よりも、経験豊富な人材のほうが好まれます。
日本でも、ギャップイヤーなどを利用した学生を積極的に雇用したり、社員の長期休暇を認められる制度がもっと整うことで日本のグローバル化も急速に変わると思っています。

天野:東日本大震災で、今までボランティア活動をしたことがない人達でもボランティアに参加する、もしくは参加したいと思った人達が多くいたと思いますが、何かその後変化はありましたでしょうか?

青:東日本大震災後に人々の意識は変わったと思います。
具体的に行動を起こす若者が確実に増えています。
これは、若い人たちが、やらなければならないことに目覚めた、問題意識を持ち始めた証しであると思います。
例えば、青年海外協力隊の活動の途中で、派遣国の治安の事情で日本に一時帰国する場合があります。
今年の4月に派遣先から一時帰国していた協力隊員を、何名か宮城県にボランティアで派遣しました。
瓦礫撤去などの活動をしたのですが、雨の日は危険なので作業が休みになるそうです。
当時、そのような日はボランティアはやる仕事がなく、かえって不満がたまっている、との報道がありました。
そのような中で、青年海外協力隊の参加者達は指示されていないのに、自発的に瓦礫を使って机や椅子などを作りはじめたという話を聞きました。
途上国では何もないところで生活するという経験をしているので、だれにも指示されないのに自然にそのような活動をする、自発的に行動するという精神が育ったものと思います。

天野:学校など教育現場にいる方々にメッセージをお願いします。

青:教員の方々も是非積極的にボランティア活動に参加してみてください。
「実体験」を生徒に語ることで、これからの若い世代をグローバルな人材に育てていくことに大きな影響を与えると思います。

宇梶:「ボランティア」というと「汚い力仕事」というような、あまり良くないイメージをもたれている方もいらっしゃるのですが、ボランティア活動は人を大きく成長させる可能性があります。
「ボランティア活動=自ら行う積極的な行動」という本当の意味を先生方には伝えていただきたいです。
そのことで、生徒たちの成長の可能性がひろがり、明るい日本の未来を担う若者がより多く育ちます。

青:ボランティア活動は「ボランティアをやりたい」という思いで支えられています。是非、自身がやりたいと思ったことを経験して頂きたいです。

(2011年10月4日取材)

青晴海さん

青晴海さん
国際協力機構青年海外協力隊事務局審議役。開発途上国支援の分野で25年のキャリアを持つ。その間、中国、インドネシア、マレーシアに駐在。本年6月に開催した「第1回ギャップイヤー制度キックオフシンポジウム」実行委員長。慶応大学大学院経営管理研究科修了。

宇梶朋子さん

宇梶朋子さん
特定非営利活動法人ICYEJAPAN事務局長。39カ国にネットワークを持つICYEのボランティアプログラムを通してデンマークに一年間滞在後、ICYEJAPAN事務局スタッフへ。現在はボランティア生の派遣・招聘事業を統括。ギャップイヤー期間中の海外ボランティア体験を推進している。

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