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【連載コラム】

【連載5】コミュニケーションスキルを向上させる

2014.07.08

■コミュニケーションとは何か?

一口にコミュニケーションと言っても、その定義は必ずしも明確ではありません。たとえば、辞書でこの言葉を引いてみると、 ことば・文字・身振りなどによって、意思・感情・思考・情報などを伝達・交換すること。[『明鏡国語辞典』より] the imparting or exchange of information by speaking, writing, or using some other medium / successful conveying or sharing of ideas and feelings[Oxford Dictionary of Englishより] となっています。
しかも、この言葉が英語教育において使われると、より複雑になってきます。

■コミュニケーションと英会話
指導要領などでも、コミュニケーション力の養成がうたわれています。しかし、必ずしも言語活動のみに限定されるわけでないところが難しいところです。そこで今回は、英語教育、とりわけ英語の運用能力においての「コミュニケーション」の再定義を試みたいと思います。
英会話という、いわば英語の口頭での運用能力を考える場合、コミュニケーション能力の向上とは、その言語運用能力の向上であると考えるべきでしょう。この場合、英会話以前に、そもそも会話というもの自体がどのような成り立ちを持っているかを考えてみる必要があります。いささか、哲学的ですが、お付き合いください。

会話とは何か?
ふだん私たちは、主に母語である日本語を使って「会話」をしています。そして、何語であれ、会話では常に2つの要素がやり取りされていると言われています。では、その会話の2つの要素とは、いったい何と何でしょうか?
一つは「描写・説明」であり、もう一つは「質問」です。つまり、よくよく考えてみると、それが日本語であれ英語であれ、基本的に会話とは、常に何かについて「描写・説明」しているか、「質問」しているかのいずれかであると言えるのです。

■英語での「描写」と「質問」の仕方
では、会話の2つの要素が明らかになったところで、今度は、英語で会話する、英会話ができる、とはどういうことかを考えてみましょう。
英語の描写・説明の仕方は、つまりは英語の文章の作り方と言うことができます。英語の文章の作り方は、ご存じのように、突き詰めると、動詞の種類によって大きく5種類の文に集約することが可能です。いわゆる、「5文型」です。
英文は(平叙文の場合)、必ず主語(subject)と動詞(verb)で始め、その後の文の構造は動詞の種類によって決まることになっています。大きくは自動詞と他動詞。さらに、それぞれが完全・不完全自動詞、完全・不完全他動詞に分かれます。これにより、上記の5つの文型が決まるわけです。
次に、英語の質問の仕方です。これを疑問文の作り方という点から言えば、大きく2種類に分けることができます。一つは、be動詞型の疑問文の作り方です。主語の前に動詞を出してクエスチョンマークを付ける。もう一つは、一般動詞型の疑問文の作り方です。これは、主語の前にDo / Does / Didを付け、動詞を「原形」にして、文尾にクエスチョンマークを付ける、というものでした。
突き詰めれば、英語でのコミュニケーション能力を高めるためには、これら2つの分野の能力を高めればよい、ということになります。

■「描写」の能力を向上させる
まず、英語で描写・説明する能力を向上させるには、いったいどうしたらよいでしょうか?
むろん、例文などの暗記も大切ですが、何と言っても、文を構成する語彙(単語・イディオム)の力を増大させなければなりません。では、英語の語彙力を向上させるためには、どのようなトレーニングが有効でしょうか?
まずは、英文を「読む」ことから始めるとよいでしょう。覚えた英文を即、口頭で使うこ
とも有効ですが、会話を持続できる力を養うためには、まず大量の英文に触れること、読むことから始めるべきであると言えます。 その英文講読の中で、正確な語彙の習得を目指すべきです。単に「英文を日本語として理解」するために「読む」のではなく、むしろ、語彙・表現を増やすために「読む」べきなのです。英文講読こそ、英語の「描写・説明」の力の源泉であると言えます。

■「質問」の能力を向上させる

次に、英語での質問の能力を向上させるには、どうすればよいでしょうか?
そもそも、もしも日本語と英語の質問の仕方が同じだったらどうでしょうか? 私たち日本人が、英語で質問することに苦労はないはずです。でも、実際にはそうではありません。
たとえば、日本語では平叙文に「?か」を付けることで、簡単に疑問文を作ることができます。「これはペンです」⇒「これはペンですか」といった具合です。
ところが、英語では、先ほど見たように、主語の前に動詞を持っていったり、動詞を原形にしたりと、日本語とはまったく異なるやり方で疑問文が作られます。
すると、日本語とはまったく異なる文の作り方、単語の並べ方や使い方を持つ英語という外国語を、日本に居ながらにして理解し習得するには、どうすればよいでしょうか? このために必要な英語の学習分野は何でしょうか?
そう、言わずと知れた「文法」、英文法を学習する必要があるのです。そうすると、どうでしょうか?
英語で会話できるためには、英語での「描写・説明」能力を向上させる必要があり、英語での「質問」をする能力を向上させる必要があります。そのためには、実は英文の読み書き、文法をしっかりやらなければならない、という理屈になります。
ただし、これらは、受信型の学習としてではなく、アウトプットとしてのゴールである、発信型の学習として取り組ませる必要があると言えます。そのために必要な教授内容は、主として「発音」であり、「英作文」教育であると考えています。この2つの教授要素と従来の読み書き文法をきちんと学習していくことで、英会話の能力、つまりは、英語でのコミュニケーション能力を向上させることが可能になるはずです。
今後は、いよいよ発音指導や語彙指導など、さらなる学習分野での具体的なレッスンプランの基本もご紹介していきたいと思います。

記事提供:先生のための語学教材活用ルーム「Lesson Library
執筆:竹村和浩さん TLL言語研究所 代表

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