編集長ノート

ここ数年日本の若者が「内向き志向」と言われるようになった。しかし本当に内向きなのだろうか?
文部科学省集計の「海外への留学者数の推移」を見てみると、2004年がピークで82,945人の留学者がいた。
その後減少が続き、2010年には58,060人となっており、6年で3割近く減少している。
特にこの数字はアメリカへの留学生の減少が大きく反映されている結果となっている。
この数字が内向き志向と言われる発端となっている数字だ。
しかし、この集計ではまだ2011年以降の数字が出ていない。
「2011年以降の留学者数は増えてきている」との議論を最近多く耳にするようになった。
英語圏各国の大使館等の政府機関は、非公式な発表だが、留学者数の増加傾向を発表している。

弊社が運営している留学情報サイトからも様々な変化が見てとれる。
このサイトの昨年のアクセス統計から見える傾向を読み解いてみよう。
「留学」と一言で言っても、その中味は様々だ。
行き先や滞在スタイルもバラエティに富んでいる。
まずは留学の目的だが、アクセス数でみると1位は語学留学、2位はインターンシップ、3位は資格取得などの専門留学となっている。
海外で語学を学ぶだけではなく、仕事に直結させたい、手に職を付けたい、という意識の人が増えているようだ。
世界で働ける人材になるために海外へ。という意識の強さが表れているようにも見える。
しかし意識が高い人ばかりが多いわけではなさそうだ。
弊社のサイト内では、留学情報を探しやすくする為、キーワード検索という機能がある。
ここでどのようなキーワードが多く検索されているかを見る。
すると1位は「格安」というキーワードだ。
これは社会の状況をハッキリと表しているようだが、お金はないが留学をしたいという人たちが多いのだろう。
一昔前よりも留学できる国やプログラムも増えた為、アジア圏で安く留学することや、インターンシップ等、学費がかからずに海外に行ける方法など、多様なプログラムが増えたことも影響していると思われる。
検索の2位は「ビジネス」。
ビジネスと言っても、ビジネスで使える英語を学ぶ、もしくは手に職を付けたいという人が検索をしているようだ。
国に関しては、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの英語圏5か国が恒常的に人気だ。
しかし5位以下ではその時代での変化が顕著に表れる。
まず目に付くのは、多くのアジア諸国がランクインしている。
その中で特に目立つのがフィリピンだ。
留学目的は英語。
オンライン英会話が火付け役となり、「フィリピンで英語を安く学ぶ」という考え方が定着してきているようだ。
現在では英語圏5か国に並ぶ程留学希望者が多くなっている。

冒頭であげた文部科学省の統計は英語圏での長期留学の数字がほとんどのため、短期留学や一部の国への留学者など数字に含まれていない「留学者」が多数存在しているのだ。
時代とともに留学スタイルや行ける国も多様化し、古い観念での「留学」が減っているだけなのかもしれない。

編集長プロフィール

天野智之

天野智之

15歳で単身ニュージーランドの高校へ留学。高校卒業後に渡米、カリフォルニア州立大学で学位を取得。その後日本へ帰国し、会社員を経て起業。
「海外から見た日本の教育」という視点で日本の教育制度にもの申す!

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