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スピーキング力を効果的に測定し、弱点補強に役立てる「Versant」

英語コミュニケーション力を瞬時に正確に測定するテスト「Versant」(http://www.versant.jp/)。2000年に、世界60カ国に拠点を持つ教育系出版社、ピアソンが開発して以来、世界各国の大手企業や大学で採用されている。日本では、雇用時などの判断材料として外資系企業での導入が主であるが、英語力のある人材を求める企業が急増し、日本企業においても「Versant」への関心は高まっている。 この「Versant」について、ピアソン・エデュケーションの日本拠点、株式会社ピアソン桐原(http://www.pearsonkirihara.jp/)の教育ソリューション事業部ディレクター、石川美佐さんにうかがった。

自動化の難しいスピーキング力測定を可能にしたVERSANT

天野:VERSANTの特長はひと言でいうと何ですか?

石川:英語力を測るテストとしては、英検やTOEIC®、TOEFL®など多数あります。
しかし、Versantが他のテストと決定的に違うのは、Versantが、主にリスニング・スピーキング力を問うテストであること。
一般的に、スピーキング力を測定するには、面接官(人)が必要であるため、時間もコストもかかるうえ、一度に大人数の測定をすることは困難です。
ピアソンでは高度な音声認識システムと自動採点システムを独自に開発し、この問題をクリアしました。
しかも、面接官の主観が入らず客観的で正確な採点を短時間で行うことが可能です。

電話またはパソコンで、24時間いつでも受験可能

天野:テストはどのような内容ですか?

石川:試験は、電話またはコンピュータとヘッドセットを用いて行います。
24時間、どこからでも受験可能で、採点結果は通常数分以内でわかります。
15分間で64問が出題され、受験者は音声による設問に対し、電話またはヘッドセットのマイクに向かって回答します。
設問は、パートA〜Fまであり、それぞれ、A:音読、B:復唱、C:質問に応える、D:文の構築、E:話の要約、F:自由回答形式となっています。
VERSANTで問うのは、「英語を聞き⇒内容を理解し⇒英語で答える」という最も基本的な英語コミュニケーション力。
複雑な長文を読解させるような問題や背景知識がなければ解けないような問題は出題されません。
それでも、ビジネスで役立つ実践的な会話力を測るには十分だということが、調査データからも明らかになっています。
テスト結果は、総合点と、「文章構文」「語彙力」「流暢さ」「発音」の4項目について採点され、5頁にわたる詳細なレポートが返されます。
レポートには、自分の現在の英語力のレベル、弱点を克服するための学習法などが記されているので、それに沿って弱点を強化することで、バランスの良い英語力が身につきます。

天野:中高生を対象にした「Versant」もできるとお聞きしましたが。

石川:韓国では、ここ数年で英語が使える人材のニーズが急増し、「Versant」を採用する企業もとても多いです。
さらに、より早期から英語コミュニケーション力を向上させるため、初中等教育レベルの「Versant Junior」もリリースされました。
この日本版が、9月にリリースの予定です。

VERSANTを学校の授業でどう生かすか

天野:学校現場では、「Versant」をどのように活用することができるでしょうか。

石川:日本人はテストを、自分の能力の分析ツールとして使うというより、TOEIC®で650点を取るために英語を勉強するというように、ゴールとして設定する傾向があるように感じます。
高校生の場合は、大学入試という大きなゴールに向って勉強するケースがほとんどだと思います。
残念ながら大学入試ではスピーキングを測定しないため、誰もスピーキングの能力を伸ばそうと努力しないのは当然だと思います。
でもこの日本人の特性を利用するなら、スピーキング力をアップするための効果的な学習のモチベーションとして、Versantのようなスピーキングの試験を目標と設定することが有効なのではないかと思います。

天野:日本では、受験がゴールになりがちなので、入試に出ないスピーキングを勉強するよりも受験英語を教えてくれ、という保護者の声もあるようです。

石川:今後、日本で社会に出ていく子供たちのことを本当に考えるのであれば、英語によるコミュニケーションの重要性を早い時点で子供たちに示してあげるべきだと思います。
受験はひとつのゴールですが、その先に何十年もあることを思い出していただきたいですね。
また、実践されている先生も多いと思いますが、学んだ文法や語彙を声に出して音読したり復唱したりすることで、知識や理解の定着に非常に有効だと思います。
受験勉強を通して効果的にスピーキング力を向上することは十分可能ではないでしょうか。
また、2011年7月13日に文部科学省が公表した「「国際共通語としての英語力向上のための5つの提言と具体的施策」について」という提言の中でも、「グローバル社会に対応した大学入試となるように改善を図る」として「受容技能だけでなく、「話すこと」、「書くこと」といった発表技能も含めた4技能をバランスよく問うよう入試問題を改善する必要がある」としています。 (http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/082/houkoku/1308375.htm
今後の大学の取り組みに、是非、期待したいと思います。

天野:学校の英語の先生への要望はありますか?

石川:今ほど、英語が使える人材が求められる時代はありません。
今後、ますますその必要性は増していくはずです。
ぜひ、学校でも、英語によるコミュニケーション能力の向上に焦点を当ててほしい。
ICTを活用すれば、ネイティブスピーカーの先生がいなくても、生の英語を聞かせることはできます。
また、私は高校2年生のときにサマープログラムでカナダにホームステイしたことがきっかけで、英語の勉強をがんばるようになりました。
先生方には早い時期から、英語を話す楽しさ、海外で外国の人と意思疎通できる楽しさを伝えてほしいです。
サマープログラムを導入している学校には、ぜひ行く前にVersantを生徒に受けてもらって、弱点を強化してから行くと、現地での時間をもっと有効に活用できると思います。
英語は言語ですから、コミュニケーションのツールとして使う前提で英語を教えていただけると、子供たちの英語学習に対する態度も変わってくるのではないかと思います。

天野:Versantの点数を上げるには、どのような学習法がありますか?

石川:発話する癖をつけることが重用だと思います。
特に音読はとても有効です。
また、単語単位ではなく、文章単位で内容を理解するくせをつけ、1センテンスの中に1つくらい知らない単語があっても大意がつかめればいいと思います。
言われたことを理解して英語でリアルタイムに答える力をつけるために、ペアで質疑応答をするのもいいと思います。
また、1文をばらばらにして正しい順序に並べ替える練習も効果的だと思います。
これは英作文力のアップにもつながると思います。
スピーキング力を向上させるには、ライティング力を向上させることが近道になるのではないかと思っています。
日本人はなぜ英語が話せないか、色々な意見がありますが、個人的な体験からすると、日本語と英語では思考回路や論理性が全く違うためだと思います。
英語で話すときは、日本語ではなく英語の思考回路になっていなければならない。
そのことを残念ながら私の通った学校では教えてくれませんでした。
たとえば、エッセイライティングなど英語で文章を書くとき、①最初に結論(自分の意見)を言い、次にその理由をいくつかあげる、②自分の考えと事実ははっきりとわけて書く、など、英語独特の論理的な文章構成というものがあります。
それをふまえて文章を書かないと、言いたいことが全く伝わりにくいですよね。
文法や語彙も大事ですか、いかに自分の意見を口頭や文章で効果的に相手に伝えるかということも、授業の中でぜひ強化してほしいと思います。
それは子どもたちが将来、世界でビジネスをしていく上で、非常に役立つスキルになるはずですし、今、苦労している我々大人が子どもたちにしてあげられる最良のアドバイスにもなるのでないでしょうか。

石川美佐さん

石川美佐さん
株式会社ピアソン桐原教育ソリューション事業部ディレクター。企業における人材開発、国際化教育およびアセスメントなどの分野で15年以上のキャリアを持つ。早稲田大学大学院商学研究科修士課程修了(人事労務管理・組織行動専攻)。同博士課程中退。
株式会社ピアソン桐原ウェブサイト:http://www.pearsonkirihara.jp/
Versantウェブサイト:http://www.versant.jp/

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